烏論な正論です。
古い記事にトラック・バックするのは少し気が引けるのですが・・・

「改革を止めるな」という改革をすすめてきた会議に議事録もない
 小泉さんやそのブレーンたちは、規制改革をおこなえば、タクシーの需給調整(台数規制)や料金体系の緩和により、競争でサービスがよくなり、価格も下がって、利用者にとって大きなメリットが得られるといってきた。

 で、その「改革」がすすめられたいま、どうなったか。

 新聞各紙がその実態を伝えるようになったように、台数とともに生活保護水準以下のタクシー労働者が増え、また異常な競争でタクシー会社も経営に苦慮し、労使がその「改革」にストップをかけようとしている。


「労使がその「改革」にストップをかける」の「改革」が「その会社での改革」なら、それは当然のことですね。
人間は全能ではないので、どれだけ参入してどれだけ儲けがあるのか参入参加者としての判断を間違うこともあるから、間違ったと思った時点で止めれば良い。

入るも良し、出るも良し−−−それが規制緩和ですね。

毎日新聞がその現場での影響を報じている。

◆縦並び社会・格差の源流に迫る:ブレーキなき規制緩和(2006/4/3毎日新聞)
この記事は、規制改革と格差社会の最前線の実態と、その先頭に立ってすすめてきた総合規制改革会議と後継組織の規制改革・民間開放推進会議の動きを伝えている。

記事によれば、介護ビジネスに参入している居酒屋大手チェーンの「ワタミ」グループの渡辺社長は、この教育・研究作業部会の委員に内定していたが、学校経営の規制緩和による株式会社の参入については「株式会社は利益の株主還元を優先するため不適当」とする持論を変えなかったために解任されたという。

先に結論ありきで、異論は徹底して排除する。まさに「改革を止めるな」といったところか。

 今後さらに、保育所制度の自由化、保育・教育分野へのバウチャー(利用券)制度の導入、病院・学校経営の株式会社参入などがねらわれているが、そもそも会議でどのような論議がされてきたのか、その過程が非常に重要だと思う。


「株式会社は利益の株主還元を優先するため不適当」と最初に言い切ってしまう人と、「改革を止めてはならない」と最初に言い切ってしまう人とでは、どちらが身勝手で「結論ありき」なのでしょうね。

もし「株式会社が利益の株主還元を優先することによる不都合をどのように回避するか」という立場であれば排除されなかったでしょうし、彼が排除された後に「不都合をどのように回避するか」という立場の人が参加したのではないか、と考えますが、事実はどうなんでしょう。

議事録がなければ外から判断できませんね、仰るとおりです。
議事録というものは、民間では当たり前のことですが、決定事項の正当性を確保するための便法として作るものですね。


 ところが。。。

◆総合規制改革会議:設置法で定めた議事録作成せず(2006/4/5毎日新聞)

 規制緩和を推進するため内閣府に設置されていた小泉純一郎首相の諮問機関、総合規制改革会議(議長、宮内義彦オリックス会長)が、内閣府設置法に基づく規則で定められた議事録を作成していなかったことが分かった。毎日新聞の情報公開請求に、内閣府が「作成していない」として、不開示を決定した。公表されているのは発言者名のない議事概要だけで、規制緩和の政策決定過程が検証できないことになり、ずさんな会議運営が問われそうだ。
〜〜〜


紹介頂いた「縦並び社会・格差の源流に迫る:ブレーキなき規制緩和」に下記の記事がありました。

「格差とは所得再配分の問題だ。税制や社会保障を通した格差是正のために政治は存在する。生産(経済)の方の問題ではない」

すなわち、

生産面での最適化を図るために企業は責任と自由を持っている。当初所得に格差を出すか否かも企業の責任と自由である。
一方、そのようにして生まれた格差をどう縮めるか、それは政府の責任と自由である。

これは正しく正論だと思います。
生産=サプライサイド、消費=デマンドサイドの完全分離です。

我々国民は一方では生産面で最適の行動をして、他方では再分配によって格差を縮める方策を持っている政党に投票すればよいだけのことですよ。

ただし「小泉改革」によってもたらされた生産活動の自由化(官民格差の是正・参入障壁の排除)をないがしろにして、日本経済を再度不況に落とし込むような生産活動を推進する政党は最初からお断りしたい。

参照:
財務総合政策研、経済格差についての報告書を公表 【トラック・バック】


◇宮内議長インタビュー◇

宮内義彦オリックス会長 96年に規制緩和小委員会の座長に就任して以来、10年間にわたり規制改革を提言する機関のトップを務めるオリックスの宮内義彦会長(70)に、最近の格差論議をどう見ているか聞いた。

 −−規制緩和の進展が格差拡大を助長しているという議論がある。

 「格差とは所得再配分の問題だ。税制や社会保障を通した格差是正のために政治は存在する。生産(経済)の方の問題ではない」

 −−失業すると正社員になれず、派遣社員になるしかない現状がある。

 「規制緩和の前後でどっちが失業率が高いと思うか。パートタイマーと無職のどちらがいいか、ということ」

 −−規制緩和の進んだタクシー業界は、労働条件の切り下げ競争になっている。

 「安全基準、労働条件をきちっと守る前提でなければ競争してもらっては困る。確かに運転手の収入が減ったというクレームはある。同時に利用者にとっては台数が増えて便利になり、新しい雇用も生んでいる」

 −−著書で日米の間に社会の望ましい地点があると言っている。

 「生産は市場経済のメカニズムを使う米国型でやるが、分配をどうするかは日本人のコンセンサスを得ることが必要だ。ただ公共投資ばかりやっていては日本は沈む。やはり(米国に近づくために)太平洋に船出しなければならない」

 −−日本型の分配システムの問題は。

 「格差をなくしたために社会に活力がなくなった。私は長い間社長をやったが、びっくりするような給料を取ったことはない」

 −−事後チェックルールは整っているか。

 「そこは各官庁の腕の見せ所。人手とお金がかかるものだという認識が必要だ。現在は移行期で嵐の中にいる。この程度で我慢できずに放り投げるようでは、日本経済はうまくいかないだろう」
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