烏論な正論です。
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◆日経新聞の気になるコラム
「日経新聞」の本日付夕刊「十字路」欄に「就労世代への社会支出増を」というコラムが載っています。筆者は、日本総合研究所理事の足立茂氏。

気になったのは、ここ。

 経済協力開発機構(OECD)統計によると、わが国は就労世代の税・社会保障負担・給付前所得(以下、当初所得)でみたジニ係数や相対的貧困率(中位所得費50%未満所得層の割合)が低く、平等感が強い国民意識と整合する。しかし、税・社会保険料を差し引き、社会保障給付を加えた可処分所得ではジニ係数はOECD平均より高く、貧困率も高水準だ。同比率は就労世代のいずれの年齢層でも高く格差が大きい国となる。


一般的な理解では、当初所得では格差が大きく、税・社会保険料を引き社会保障給付を加えた再配分後の所得では格差が小さくなる、というのではないでしょうか。ところが、当初所得の方が平等で、再配分後の所得の方が格差が大きいとは、こりゃいかに? というのが、よく分からないところです。どなたか詳しい方、ぜひご教授を。m(_’_)m


当初所得の格差が再配分後の所得の格差より小さいことは在り得ません。
再配分のやり方は国によって異なるので、当初所得の格差と再配分後の所得の格差の国際順位が変化するということでしょう。

さて、それはそれとして、面白いのは、このコラムの内容。足立氏は、続けて次のように指摘しています。

対照的なのがフランス。就労世代の当初所得でみたジニ係数は平均に比べて高いし、相対的貧困率も高水準で格差が大きい国だ。だが可処分所得ではジニ係数、相対的貧困率とも低くなり、格差が小さい国に生まれ変わる。


ということで、足立氏はOECD諸国を次のように分類されます。

当初所得、可処分所得のいずれでも格差が大きい米国
いずれも低い北欧
当初所得では格差が大だが可処分所得では格差が小となる欧州大陸諸国(イタリアを除く)
大陸諸国と逆の結果のわが国


で、これらは「政策選択の結果」だということです。つまり、「機会均等は追求するが、結果の不平等には目をつぶる」のが米国、それに対し北欧諸国は「機会均等・結果の平等のいずれも追求する」というのがおもしろいですね。


機会均等というのはとても曖昧な概念ですね。これは計数化できないので、アメリカと欧州大陸諸国で比較できません。
当初所得、可処分所得という厳密な用語の後でなぜ、このような曖昧な概念を持ち出したのでしょうね。

その上で、足立氏は、次のように問題を提起されています。

だが就労世代にとり可処分所得こそが生活実感に適う指標で、ここでの格差が国際的に大きいのが問題だ。とりわけ格差固定化を招きかねない就労世代の貧困率抑制は重要政策課題だ。格差固定化が機会均等を損ねかねない


格差固定化とは可処分所得格差固定化ですね。
機会均等を損ねると当初所得格差が拡大しますね。
だから、機会均等という曖昧な用語を使用しないで「格差固定化が機会均等を損ねる」を言い換えると「可処分所得格差固定化が当初所得格差を拡大する」となります。

これにたいし、氏は、「就労世代向け社会支出の国内総生産(GDP)比率が高い国ほど相対的貧困率が低い」という事実に注目し、就労世代への社会保障給付の配分を増やすこと、具体的には「子育て、教育、就労支援等で税制優遇や手当の改善」を提唱されています。


「就労世代向け社会支出の国内総生産(GDP)比率が高い国ほど相対的貧困率が低い」には同感ですが、「就労世代への社会保障給付の配分を増やす」には反対です。なぜなら所得の移転は社会保障ではなくて税制の機能だからです。「子育て、教育、就労支援等で税制優遇や手当の改善」税制の機能ですから、これには賛成です。

そのために「高齢者に偏った社会保障給付の配分を変えて」というところは、にわかには同意しかねますが、就労世代が子育てでも教育でも一番負担が重いのは事実。そこに手厚く支援することは、格差解消という点だけでなく、国民生活を安定させ、“懐を暖めて”消費を上向かせるという点でも、日本経済の健全な発展にプラスになると思います。


「高齢者に偏った社会保障給付の配分を変えてというところは、にわかには同意しかねます」
そうですね、いまでも高齢者への社会保障給付が充分とは言えませんからね。

就労世代が子育てでも教育でも一番負担が重いのは事実。そこに手厚く支援することは、格差解消という点だけでなく、国民生活を安定させ、“懐を暖めて”消費を上向かせるという点でも、日本経済の健全な発展にプラスになると思います」
全く同感です。

高齢者への社会保障給付を変えないで(むしろ増やして)、就労世代の子育て・教育に手厚く支援する財源はどこに求めるのか?

答えを先に言うと、それは高齢・高所得者への税金しかありません。

年齢階級別所得再分配状況
このグラフを見たら、若者が社会保険に参加したくなくなる気持ちが解りますよ。高齢者は若者よりも少ない負担(税金+社会保険料)で膨大な社会保障を受けています。高齢者の中にこそ高額所得者が大勢いるにも関わらず、同年輩の社会保障の負担を若者に押し付けています。

2002年所得再分配によるジニ係数改善
これを見れば、高齢者の当初所得(黒太線)のジニ係数が0.6?0.8という想像を絶するもので、これは暴動寸前のあたいです。(ジニ係数0.5の中国は暴動寸前
それをなんとか是正して0.4台(黒細線)にもっていっているのは社会保障で、その財源は若者の税金と社会保険料(赤線)です。どれだけ所得移転すればジニ係数が改善できるのかというジニ係数改善度/再配分額(世帯数計)(黄線)を見れば、高齢な程その効果が薄れています。なぜか? それは高齢者にはとてつもないお金持ちがいるからですよね。ばかばかしいじゃありませんか。高齢者の問題は高齢者の間で解決するのが筋というものでしょう?

しかも、
世帯主年齢階層別ジニ係数の推移(当初所得) (家計調査)
世帯主年齢階層別ジニ係数の推移(再配分所得) (家計調査)
を見比べれば、当初所得ジニ係数は年を追うごとに、歳を取るごとに悪化するばかりで、再分配所得ジニ係数も概して悪化しています。若者による負担の限度を超えているというべきでしょう。

所得格差の推移(ジニ係数)
を見れば、当初所得も再分配所得も次第に大きくなっていますが、それでも、再分配所得の格差は政府の関与によって必死に公平を保とうとしてしていることが解ります。政府の関与には税制と社会保障がありますが、なんと、税制による格差是正は殆ど効果がなくて社会保障が公平化に貢献しています。おかしいですね、社会保障は社会保障であって公平化が目的ではありません。公平化が目的である税制が公平化に貢献していないとはなんというアホな事態でしょうか?

以上のデータは下記に掲載しました。
資料 格差問題総集編
資料 2002年所得再分配によるジニ係数改善

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コメント
この記事へのコメント
TBありがとうございます
初めまして。TBありがとうございます。

>当初所得の格差が再配分後の所得の格差より小さいことは在り得ません。

そうなんです。あり得ないことが、あったかのように書かれているので、疑問なのです。記事では、明確に、ジニ係数が高いと書かれているので、その理由が知りたいなあと思っています。

2006/06/21(水) 13:16 | URL | GAKU #-[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2006/06/21(水) 13:19 | | #[ 編集]
当初所得の格差が再配分後の所得の格差より小さいこと
GAKUさん、こんにちは。
コメント有り難うございます。

「就労世代への社会支出増を」の原文がインターネット上に見つからないのですが、紙上情報でしょうか?

日経新聞に聞くしかないのかな~~~
2006/06/21(水) 17:31 | URL | う~さん #-[ 編集]
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