烏論な正論です。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
記事紹介

公務員の首切りなしで改革はできるか

「『坂の上の雲』を再び(7)」では、中国と韓国で地方政府が国全体を蘇生し始めたことを書いた。背景には、地方住民の厳しい目がある。
住民の厳しい目が地方を変える

 韓国で優れた行政手腕を発揮する3知事を描いた月刊朝鮮の2003年9月号。興味深い指摘がある。3知事にインタビューしたこの記事は前文で、こう書いた。「3知事に共通する言葉は『言行一致がもっとも重要な原則』だった」――。北川正恭・前三重県知事の主張する「『情実』から住民との『契約』の選挙」。あるいは「住民とのマニュフェスト(政権公約)」と心は同じだ。

 韓国でも日本同様、選挙民は「政治家の公約なんて当選するための空公約。どうせ実現はしない」と考えていた。だが、1997年の経済危機で失業率が10%を超す冬の時代が来た後は、選挙民は「政治家が本当に公約通りに苦境から救ってくれるのか」と知事や市長の“当選後”の行動を厳しくチェックするようになった。まさに、日本と同じ状況だ。ちなみに月刊朝鮮がとりあげた「優れた知事」は3人とも官選、民選時代を通じ連続して知事を務める「3選首長」だ。

 中国では、省や市の首長は官選だ。だが、彼らの「言行一致」は住民から厳しく監視されている。国が大きいだけに産業政策は事実上、省や市の裁量に任される部分が大きい。隣の省や市と比べ、少しでも豊かさを実現してくれる首長なのかどうか、住民は彼らへ「評価」を日本人以上に口にする。「印刷の自由はまだないが、言論の自由は保証されている」時代に入ったからだ。地方の首長を任命する共産党中央も、首長の実績と人気をチェックし人事に大きく反映する。「選挙という“ガス抜き”がないから、逆に市民の声をより気にせざるを得ない」とうち明ける中国政府幹部も多い。

公務員を首にした韓国、中国

 ただ、住民に顔を向けるとは言っても、首長と住民の間に“立ちふさがる”役人が改革のスピードを落とすことが多い。韓国では「伏地不動」という言葉がある。中国では「上に政策あれば下に対策あり」というジョークがある。いずれも、我が身大事で事なかれ主義の役人が、首長の新しい政策を面従腹背でやり過ごすことを指す。それはアジアに限らず、世界共通の現象なのだろう。

 ただ、中国と韓国は変わった。すべての公務員が心を改めたとは言えないものの、首長の改革指示の浸透度は早まった。それは公務員が首を切られる時代に入ったからだ。

 韓国では経済危機の際、初めて赤字国債を発行した。政府は健全財政を維持するために公務員を大量に解雇した。中国の市場経済化を担った朱鎔基・前首相も、財政難対策と政府の効率性向上のために中央、地方のいずれの政府でも多くの公務員を馘(かく)首した。両国の役人とも、首になるリスクを初めて実感し、スピード感を持って「働く」ようになったのだ。

日本の「伏地不動」はいつまで続くか

 8月29日、日本記者クラブで講演した石原慎太郎・東京都知事は以下のようなエピソードを明かした。もちろん、苦笑しつつ、だ。

 森喜朗氏が首相だった時、排ガス規制を巡り、石原氏に言い訳した。「通産省、環境庁、運輸省の言うことが違う(ので解決できない)」。石原知事は驚いて答えた。「(彼ら役人を)束ねるのがあなたの仕事でしょう」。

 石原知事は講演で嘆いた。「役人のヒエラルキーに(今の)政治家はしがみついている」。

 もっとも、その前日、岩手県の増田寛也・知事は同じ日本記者クラブで講演し公務員の面従腹背に関し、以下の趣旨を述べた。

 「首長が強いリーダーシップを持てば地方公務員は動く。当選して初登庁したら、私の公約を実現するための施策がちゃんと机の上に乗っていた」。

 森前首相と増田知事の公務員への認識の違いはどこから来るのだろう。直接選挙で選ばれ選挙民への責任と結果をより強く問われる知事の方が、首相以上に役人への人事権を発揮せざるを得ないからだろう。経済産業省OBも言う。「首相だって中央官庁の局長以上の任命権を持つ。それを使っていないだけだ。要は政治家の姿勢の問題だ」。

 日本の中央政府も国民の役人へ高まる不満を感じ取ってはいるのだろう。国家公務員の給料を少しずつ下げ始めた。ただ、それが本当に不満を解消するかは怪しい

 国民は役人の給料が高すぎることもさることながら、既得権にしがみつく彼らが「伏地不動」で改革に抵抗していることに反発を強めている。行政コストをほんの少し下げるだけに過ぎない「給料引き下げ」よりも「首を切られる恐怖」を背景に、役人が「ちゃんと改革に向け働く」ことを望むようになるだろう。

 役人は「過去との比較」を持ち出し「改善」を訴えることが多いが、国際化したビジネスマン、つまり国民のある程度は韓国や中国との「比較感」で日本を見つめ始めているからだ。
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://usan.blog63.fc2.com/tb.php/54-a02d19c7
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。